ブルービースト

「それにしてもお前の剣と銃の二刀流、久しぶりに見たぞ?」


「しばらくしてなかったものね」



アサギが嬉しそうに言えば、セリナは苦笑いした。


ブロードは左手に持つ剣と右手に握る銃を交互に見て、それから銃の方を腰のホルダーに戻す。



「でもやっぱり俺は剣がいいみたい。銃は苦手だよ」


「そうか。ま、俺はもう大丈夫だからお前さっさとこれ終わらせろよ」



見といてやるからよ、あ、人は殺すなよ。


何気なしに言うアサギに、ブロードは顔を向ける。


それから遠くで戦うレイツともう少し近い場所で舞うユノに目を移し、自身の剣を握り直した。



「わかってますよ」



またまた拗ねたように口を尖らせ、そして彼は戦火の渦に飛び込んでいく。


目指しているのは先程目で追っていた仲間たちから一番近く、かつ等距離な場所。



敵と味方がひしめき合っている、この戦場の中心地だ。





「わざわざ人が多いあそこに行くのがアイツらしいな」


「…ただの馬鹿でしょう」


「そうか?俺はアイツのああいうとこ好きだぜ」



満足そうに笑むアサギは、蒼からその補佐に観察対象を変えた。


圧倒的に男が多いこの戦場でも、恐れることなく存分に暴れるその姿。







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