ブルービースト

「いたっちょっとあんた頭突きしてんじゃないわよ、この石頭」


「ブロードこえええええ」


「? どうしたのよ」



不思議がるセリナに首を必死に振るレイツ。


怖くて言えません、聞かれたら死ぬ。


少将のそんな様子を見たセリナは顔を上げ、話題のブロードを盗み見てみた。



ちょうど溜め息をつきながらネクタイを緩める彼。


あ、色っぽいとか思ってしまったセリナは次の瞬間には真っ赤になって自己嫌悪に陥った。



それから彼がちらりと目を向けた方を見て、愕然とする。




「嘘、まさか…」


「おいブロード」



若干落ち込むセリナの隣で立ち上がり、声をかけるアサギ。


ネクタイを外したばかりのブロードは、もう一度ふぅと息を吐いてから彼の呼びかけに答えた。




「はい?」


「どした?」


「? 何がですか」




(あああアサギさん地雷いいいいいい!)


真っ青になるレイツ。


ブロードを怒らせると非常にめんどくさいのに。



しかしアサギのどうしたが指しているのは、彼が不機嫌であることではなかった。



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