ブルービースト
遠征に行った年長組がいない間、第一部隊の隊長代理となっていたクリスは心身共に疲れ果てていた。
シエラは問題ないにしろ、回された分普段より仕事が多いのにリシアがサボるからだ。
更に意外と隊長の仕事というものが多く、はじめてそれに取り掛かったクリスはブロードに対する考えを少し改めることとなった。
中将としての執務もあるのに、これをこなすなんて。
青年はそう思い上司を尊敬し直したが、…そいつは普段その仕事を放置している。
本当に尊敬すべきは彼にそれをやらせる補佐の方であるのは間違いないだろう。
そんな訳で早く仕事地獄から開放されたくて、クリスは皆で揃って遠征組を待っていた。
すると、不意に尻ポケットに入っている軍支給の携帯無線が鳴り始める。
突然の音にビクリと震える三人+一匹。
そっと取り出したそれは、高い音を出して着信を知らせていた。
「ブロードさん!?ブロードさんなのッ!?」
「いえ…司令部みたいです」
「えーっ!?何でよぉ!」
叫ぶリシアを無視し、通話ボタンを押して耳に宛てる。