ブルービースト

「アシャギしゃんたしゅけてー!」



ヘルプミー!とジタバタ暴れるそいつは仮にも軍の中将だ。


世も末だな、と他人事のように爽やかに笑いながら考えたアサギに、ブロードはアイツは役に立たないと諦めた。


しかしキィルはそうは思わなかったらしく、ぐるりと首を回しアサギに目を向けると単調に言う。



「アサギ、乗り込んだもう一人も連れてこい。説教だ」


「アイアイサー」


「ゆっ!?やめれぇぇ俺が殺されるううう!」




アンタのせいで怒られたじゃないですか!



…と、乱射するユノが脳裏にちらついて、ブロードは今までで一番青くなりながら必死に制止した。



しかし聞き入れてもらえる筈もなく、アサギは「ご愁傷様ー」とだけ言うとそそくさと扉をくぐっていく。




きっとすぐに、あの鬼の補佐がそこから現れるのだろう。





「きききキィルしゃんん…!」


「自業自得だ馬鹿息子」


「反省してましゅ!」


「してましゅ、だと?ふざけてるのか?」


「なんでええ~!」



自分がつねってるからだろ、だなんて言えず、ブロードはとてつもなく嘆いた。


アサギさんめ、根に持ってるな!



上司に八つ当たりするが、状況が変わる訳でもなく。





それから三分後に現れた補佐と、彼はみっちりしごかれたのだった。







< 291 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop