ブルービースト
「アシャギしゃんたしゅけてー!」
ヘルプミー!とジタバタ暴れるそいつは仮にも軍の中将だ。
世も末だな、と他人事のように爽やかに笑いながら考えたアサギに、ブロードはアイツは役に立たないと諦めた。
しかしキィルはそうは思わなかったらしく、ぐるりと首を回しアサギに目を向けると単調に言う。
「アサギ、乗り込んだもう一人も連れてこい。説教だ」
「アイアイサー」
「ゆっ!?やめれぇぇ俺が殺されるううう!」
アンタのせいで怒られたじゃないですか!
…と、乱射するユノが脳裏にちらついて、ブロードは今までで一番青くなりながら必死に制止した。
しかし聞き入れてもらえる筈もなく、アサギは「ご愁傷様ー」とだけ言うとそそくさと扉をくぐっていく。
きっとすぐに、あの鬼の補佐がそこから現れるのだろう。
「きききキィルしゃんん…!」
「自業自得だ馬鹿息子」
「反省してましゅ!」
「してましゅ、だと?ふざけてるのか?」
「なんでええ~!」
自分がつねってるからだろ、だなんて言えず、ブロードはとてつもなく嘆いた。
アサギさんめ、根に持ってるな!
上司に八つ当たりするが、状況が変わる訳でもなく。
それから三分後に現れた補佐と、彼はみっちりしごかれたのだった。