ブルービースト

「何で私が…。言い出したのはアイツだし巻き込まれただけなのに」


「でも無茶したのは本当ですから、仕方ないですよ」



困ったように笑いながらもザックリ言ったシエラに、ユノはうっと息を詰まらせた。


それを言われてしまえば、もう何も言い返せない。




「あたしは早くクリスのおばあちゃんから解放されたぁい~…」



ユノとシエラの会話が途切れたのをいいことにぼやいたリシアは、お湯に潜ってぶくぶく泡をたてた。



その言葉にユノとシエラは顔を見合わせる。





クリスの祖母、ミノリは、あれから何故か司令部に居座り、しかもしばらく泊まるなどと言い出した。


彼女はかつてこの軍に所属してかなり活躍していたらしく、無下には扱えない。



直接ミノリに相談(と言う名の恐喝)をされたキィルは、苦虫を潰したかのような顔でそれを了承した。


実はそのおかげで説教は終わったのだが。





「ブロードさんに近付けないなんてぇ…地獄っ!地獄以外の何物でもないわっ!」


「何であんなにお気に入りなんでしょうね」



気味が悪いほどブロードに執着するミノリは、些か異常な気がする。


だがブロード本人がそのことに気付いていないので、彼女はやりたい本題な訳で。



今、ミノリに危険視されているリシアは、愛してやまない隊長に近付けない状態になっている。






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