ブルービースト
噂には聞いていた、目の前の蒼い男。
女は彼を見て、更に驚いていた。
結構な役職に就いているのだから、それなりに威厳ある恐持てだろうと勝手に予想していたのだ。
だが実際の彼は全く違う。
若い上に男にしては華奢に見えるし、にこにこ好感的な笑顔を浮かべていて、
……正直へらへらうざい。
女の視線に何を思ったのか、蒼い男は「あぁ、」と何か思い出したように手をポンと叩くとまた笑顔を見せた。
それから口を開き、女に話しかける。
「…まずは自己紹介、だ。
俺はブロード=グァルナンド。君に補佐してもらう戦武中将だよ。
この第一部隊の隊長もしてるかな。
君は――…」
「ユノ。ユノ=リーです」
女──ユノは、蒼い男、ブロードに何か言われる前に自分から名乗った。
するとブロードは満足そうににこにこしながら頷く。
そして、後ろの男女を振り返った。
「ほら、お前らもユノちゃんに自己紹介しろよ」
その言葉に待ってましたとでも言わんばかりに、さっきのテンションが高い茶髪男が前に出てくる。
彼はニッと笑ってユノの紫の瞳を見下ろすと、握手を求めた。
「俺はレイツ=ローラン!この第一部隊の副隊長してんだ!」
無駄に元気なレイツと戸惑いながら握手するユノ。
(ここは、違う。)
私が今までいた第三部隊には、こんな馴れ合いなどなかったのに。
そうやって戸惑っている間にもまた違う人が自己紹介しだす。