ラスト プリンス

「あたしね。………セックスで心を満たしてきたの」

 思ってたより声は震えてなかった。けど、耕太を見ることは出来ない。

 耕太を見てしまえば、その瞳の色で分かってしまう気がして、怖い、から。

「自分で言うのもあれだけど、男に不便はしなかった。あたしからいかなくてもあっちから来たの。 それでね………」

 耕太は何も言わない。微動だにしない。

 呼吸しているのかさえも、あたしには分からないくらいに、気配を消している。

 怖い。物凄く怖い。

 何も言ってくれないのが余計。でも、前に進むって決めたんだから。

 大丈夫。あたしは信じるの。

 耕太のこと信じれる。

「……告白されて、『この人は好きになれそう』っていう人ばっかりと付き合ってた。手繋いで、キスして、エッチして。それからだんだんと好きになっていく。 それがあたしの今までのパターンだったの」

 耕太にはどういう風に聞こえてるのかな?何を考えているのかな?

 お願い。

 話し終わったとき、あたしを拒絶しないで。あたしに『好き』って言って。

「だから、ころころ相手が変わってた。最初に耕太言ったでしょ?『来るもの拒まずっていう感じがする』って覚えてる?あれ、案外間違ってな――」

「おい梨海」

 刺すような鋭く冷たい重い声が降ってきて、あたしは一瞬にして身を固めた。

 やだやだやだやだ。

 言わないで。ねえ、耕太っ……。

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