ラスト プリンス
「くだらなくない。あたしにとって、すごく重大なことなんだよ?だから、こうやって必死に話してたのにっ……。 どうして? どうしてくだらないなんて言えるの? 何人もの男に股広げてたのよ、あたし。そんな女イヤでしょっ?!」
息が上がるほど一気にまくし立てたあたしは目の前が歪んでいて。
つーっと目じりから涙が流れるのを感じた。
「そうやって言えばいい。10離れてるからって遠慮なんてするな。どのお前でも離す気はない」
耕太が両手をついているおかげで出来た空間を利用して、上半身だけをひねる。
涙でぐちゃぐちゃの顔なんて見られたくない。
それに、なんだか優しすぎるし嬉しすぎるんだもん。胸がきゅんきゅんするしドキドキもするの。
「返事」
あたしの後頭部を撫でながら、甘いトーンで聞く耕太はやっぱり意地悪。
分かってるくせに。
そう思っても、やっぱりあたしの気持ちを知ってほしいの。耕太に。
「ぜーったい!離さないで。 でももし、離そうとしても全力でしがみ付くんだから」
上半身を戻して言ったあたしは、耕太の首に腕を回し顔を近付けた。
それに合わせて降ってきたのは、熱い甘い深いキス。
何度も何度も角度を変えて唇を合わせ、脳が溶けちゃうんじゃないかなって思った時、身体が宙に浮いた。
「…ん……ふぅ。 ……こうたぁ?」
自分の声ってこんなに色気があったのね。 なあんて勘違いしちゃいそうなほど、あたしの声は熱が帯びていた。