ラスト プリンス

「え?こうっ……え?」

 スローモーションよろしくゆっくりとソファーに倒されたあたし。 の上に当たり前のように乗る耕太。

 …………えーっ?!
 くくく組み敷かれてるぅぅうっ!!?

「ちょっ……耕太?! ねぇっ!!」

 耕太の胸を叩いてみるけど、耕太は何も言わずにのしかかってきた。

 しっシカトっ?!

 えっ、ちょっ……どうすればいいの?

「ねぇ、耕太ってばっ!!」

「言え」

「何を?」

「早く」

「好き?」

「違う」

 もうっ!! なんなのよっ!!

「“なんでもない”はムカつく」

 ぼそりと呟いた耕太は身体を持ち上げ、あたしの顔の両側に両手をついた。

「どうせ、『男と遊んでた女と付き合うの嫌じゃないの?』とかだろ? 俺、そんな心狭いやつに見えるか? くだらねえ」

 ………くだらない、って………。

 大人な耕太にとってせせら笑うようなことかもしれないけど、あたしにとってすごくすごく大事なことなんだよ?

 それを『くだらねえ』だなんて……。

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