ラスト プリンス


 もしかしたら追い掛けて来てくれるかな、なんて思ってゆっくり歩いてみるけど。

 そんな淡い期待を簡単に壊してしまうほど、今一番聞きたい「待てよ」が聞こえてこない。

 所詮、アイツもあたしの身体目的だった、というショックを抱えながら、夜になりかけの道を歩く。

 日の時間が短くなった空は、なんとも悲しげで、あたしみたい。

「……っ」

 好きだった。

 悔しいけど、アイツのことが。

 あの優しそうな笑顔に、人の良さそうな性格に、コロッといったのが悪かったのかな。

 他の人よりいくらか胸が大きくて、それなりに身長があり、純日本人だけど少し日本人離れした顔。

 そんなあたしに面白半分で近づいてくる男もいるから、自分なりに気を付けていた。

 付き合ってきた男だって、結構話したことのある人ばかり。

 でも。
 どいつもこいつも二人きりになったらやりたい放題。

 あたしなんか見てない。

 男は自分たちの快感だけを求めて身体を重ねる。


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