私は先生
「答えて」


雪は顔を伏せている私を覗く

目を合わせれば…
真剣な表情


「チカちゃん」


「そうよ…生徒だからよ…」


目を瞑り
正直に言う


そう
雪が生徒だから

生徒じゃなかったら…


「だから…諦めてといったわ」


諦めて
忘れて


そう強く言った


2人の会話しかない保健室
に響く声


「諦めたりはしないよ。要は俺が生徒じゃなかったらいいんだろ?」


「はい?」



雪は真面目な顔をして
言っている


「何を言ってるの?」


「秘密」



ニコッと笑い


「じやぁね」


私の前を通っていく


意味の解らないまま


雪を見送る



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