緑の魔法使い
お嬢様付きの執事になって何度夜中に暴れるお嬢様の手を押さえたか数えても数え切れず、そのたびに白の手袋が血で染まって使い物にならなくなって使い捨てのように処分してきた。
綾瀬川さんから俺にお嬢様を託されるまでに4人の執事候補が耐えれなく辞めて行き、社交界ではちょっとした有名な出来事に旦那様もただ耐えている事を知らないわけでは無いだろう。
だけどそんな病気を理由に育った超我儘お嬢様の泣きたくなるほどの嬉しい事がぐっすりと眠ると言うなんて事もない事だと言うのは俺も露ほどにも思わなかった。
「お嬢様がお休みの時にですが、この後の体調の事をお話して頂きました」
「この後の事?どんな?」
新たに背中にスプレーした跡、お嬢様も首元をシュッとスプレーして手で湿布する。
「今夜辺りから薬の効果が発揮され、酷く腹痛をなされると仰いました」
「それで?」
「高熱がでるそうですが、対応する薬が無く、水枕で熱を取れとの事」
「そうですか・・・」
落胆ともなんとも感情の無い声で返事をするお嬢様の顔色をつい窺ってしまう。
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