緑の魔法使い
幼い頃の夢を何度か見た。

どれもまだ病気になる前の、前の家だった頃の夢だった。

無邪気に笑って、綾瀬川もまだ若く、白い花が咲く木のある庭で遊んでいた。

今の家から比べるとひとつひとつが小さく、古くて、不便で、比べ物にならなかったけど

楽しかった。

幸せだった。

週末の度にお父さんが遊んでくれて

お母さんが毎日お菓子を作ってくれた。

なら、変わったのはいつから?

そこから何も思い出せない。

何がこの幸せを壊したのかまったく判らなかった・・・
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