【続】俺様王子と秘密の時間
黒澤拓海はあたしの腕をさっきよりも強く掴み、一部分から水が吹き上げている噴水の中へ入る。
噴水は外側に向かって吹き上げているから、直接水を浴びることはないけど。
5時になったら地面の穴から水が吹き出るから、そうなったら噴水に囲まれてずぶ濡れになる……。
そんなの冗談じゃないっ!
「はっ、離してよ!」
「嫌だね」
向かい合う形になったあたし達。
千秋の姿が近づいてきてるのに、あたしは真っ直ぐ見れない。
――きっと呆れられてしまう。
学習能力ないとまで言われているのに、またこんな風になって。
「5時まであと1分きったな」
腕時計を見てそう言うと、黒澤拓海は眉間にシワを寄せて苛立ちを募らせているような顔をした。
「……ムカつくわ」
「……っ!」
ギュウッとあたしの両肩を掴み、顔を近づけたその時だった。