【続】俺様王子と秘密の時間


パァッと眩い(まばゆい)光が噴水を照らし出して、地面の小さな穴から勢いよく水が吹き上げた。


――ザァァァッ


水流の音がうるさいくらいに聞こえて、まるでこの場所だけに大雨が降っているような感覚だった。



「5時の噴水だ」


長い黒髪に、険しい表情。

容赦なく降り注ぐ水流のせいで、あたし達は噴水に閉じこめられる形となって、互いにずぶ濡れ。



「手、離して……」

「嫌だ」

「離してよっ!」


不安に駆られたあたしは叫んだ。

これ以上、千秋との間に溝を深めたくない。


噴水を挟んだところに見えた千秋の姿は、あっという間にあたしの視界から消えてしまった……。



「あーあ。プリンスは間に合わなかったみてぇだから、予告通りシイの唇を頂くとするかぁ……」


黒澤拓海はほくそ笑む。

さっきはするつもりないって言ったクセに。


そして……。

 

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