【続】俺様王子と秘密の時間
「人のこと突き飛ばしといてさ、涼しい顔してくれるじゃねーの」
黒澤拓海は千秋に突き飛ばされたらしく、噴水にお尻をついていたけど腰を上げて起き上がった。
千秋は唇を離すとあたしの頬に、優しく触れてそっと撫でる。
――ドキッ
なんて表現したらいいかわからないけど、身体の奥底から熱いものが沸き上がってきた。
「その顔、たまんねぇな」
黒澤拓海の声なんて聞こえていないような素振りを見せる。
わざとなのか吐息混じりの小声で言うと、顔を傾けて微笑する。
「千秋……なんで……」
どうして居るの?
あたしにはどうして千秋が居るのか謎だった。
絶対もうダメだって思ってた。
だからそう尋ねるのが精一杯。
「来ない方がよかったか?」
あたしはフルフルと首を振った。
「おいおい。シカト決めこんでなよ王子様?」