【続】俺様王子と秘密の時間


前にも正門のそばで黒澤拓海に引きずられて、二人きりになった。


千秋はその時、何も言わずあたしを教室まで連れてってくれたけど、また同じことをして黙っているハズがないと思う。



「いい加減、呆れる」

「なによ……さっきはもういいって言ったクセに」

「それは誰が悪い?」

「うっ……」


得意気に尋ねる千秋に反論なんて出来なかった。

羽鳥のことを考えていたあたしが悪いけど、でも……。



「でも来てくれた……」


呆れられたっていい。

来てくれたことが嬉しかった。

とっさに口をついて出た言葉に、千秋はあたしの濡れた睫毛を掬い上げるように指先で触れる。



「自分の女に気安く触れてんの見て、オレが黙ってると思うか?」


痛いくらいに胸が疼いた。

告げられた言葉にあたしは、この人にどうしようもなく想い焦がれているんだってさらに実感する。

 

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