【続】俺様王子と秘密の時間
「でもマーキングが必要だな?」
「へっ?」
マーキングって犬とかが匂いや印をつける、あのマーキング?
「お利口に出来ねぇみてぇだから、しつけが必要だってことだ」
「し、しつけって……」
唇をムゥッと尖らせて千秋を睨むと、あたしの濡れたネクタイを掴んで軽くひっぱり距離を詰めた。
わわわわわっ。
千秋は前のめりになるあたしを見て、挑発的な台詞を吐いた。
「オレの匂いをつけてやるって意味が、わからない?」
ペロリとあたしの鼻の頭を舐めると口端を吊り上げ、誘惑するかのようにブラウンの瞳を細めた。
口をパクパクさせるあたし。
「今夜は、寝れると思うなよ?」
あたしの暴れだす鼓動に追い討ちをかける。
そして脳髄まで響くような声で、あたしの鼓膜を震わせた。
「たっぷり可愛がってやる」
王子様は、大胆不敵に微笑んだ。