【続】俺様王子と秘密の時間
「おい葉月、早く入れろ!」
「ゴリラに見つかっちゃう!」
えぇええええ……。
ドタドタと羽鳥とコウちゃんが慌ただしく部屋に飛びこんできた。
「さっき西山ゴリラがエレベーターの前に居たから超焦ったよ!」
「コウ、鼻息荒いわよ」
あたし達が宿泊する旅館はエレベーターと階段があって、それを挟んで左側が女子、右側へ行くと男子の部屋と別れている。
ちなみにA組とB組は2階で、C組の千秋は3階だ。
「シイ」
「……っ」
羽鳥はテーブルの前に座るあたしの前に腰をおろして、手にした袋の中から何かを取り出した。
目の前に羽鳥が来たのに遊園地でのことが引っかかっていて、どうしても真っ直ぐに見れない。
「ひゃっ……」
いきなり冷たい感触が走って顔を上げる。
「さっきは、悪かった……」
あたしの頬に苺ミルクを押しあてて、眉を下げて微かに笑った。