【続】俺様王子と秘密の時間
気づいてないのはあたしだけだ。
いつも自分のことでいっぱいいっぱい。
「シイが王子と付き合うまでは、羽鳥、自分の気持ちにブレーキかけてたんだと思うのよね」
「ブレーキ?」
「そうよ。でもシイが王子の彼女になってから、羽鳥はだんだん抑えがきかなくなったのよ」
あたしは力なく相槌を打つ。
「だから旅館でシイにキスしちゃったのよ。ダメだってわかっててもね?」
真夜中の秘密のキスを思い出す。
髪を撫でる手が暖かかった。
羽鳥のシトラスの香りが切なかった。
羽鳥の気持ちを改めて知ったら、いくら鈍感なあたしでもそれを知らんぷりすることは出来ない。
「恋の導火線に火がついちゃったわねぇー」
「……」
「なんつー顔してんのよ?アンタのことでしょうが」
「ん……」
わかってる。
あたしが乗り越えなきゃいけない問題だって。