【続】俺様王子と秘密の時間
「もしかしてさぁー」
と、コウちゃんはあたしの前の席へ視線を送った。
窓から流れこむ生温い風がふわりとウェーブを揺らした。
「ね…ねぇ、羽鳥……?」
躊躇いがちに声をかける。
羽鳥に声をかけるのがこんなに気まずいのは、昨日のことがあったから。
くるっと振り返った羽鳥にあたしはソレを見せる。
「勘違いかもだけど、これ、もしかして羽鳥がくれたの……?」
そう思ったのは昨日、羽鳥の部屋でのやり取りを思い出したから。
苺ミルクのキャンディをくれた羽鳥との会話が浮かんだ。
『も…もっといっぱいあったらよかったのに』
『んだよ。そんなもんが好きとかガキだよなぁ、シイは』
『いいでしょ別に……』
『それでシイが喜ぶなら、そんなもん山ほどやるよ』
自惚れかもしれない。
だけど送り主は羽鳥かもしれないから。