【続】俺様王子と秘密の時間


「使ったって?勘違いすんなよ?つか、雅弥は黙ってろ」


鞄をぶつけられたことなど全く気にしていなかった。

気づけば辺りは暗くなり始めていた。

オレンジの夕陽を塗りつぶしたかのように空には灰色の雲が広がっていく。



「お前、怖いんだろ?」

「……っ」

「オレとのことがバレんのが怖いんだろ?」


ほんとのことを口にされてビクリと肩が上がった。

やっぱり千秋は全てお見通しだったんだ。


秘密がバレるのが怖くて逃げていたことも、千秋が秘密を止めにしようと言った時もなにかと理由付けて誤魔化してきたことも。



「……怖いよ」


平常心を保ったつもりが声が震えてしまう。



「だって千秋は王子様だから。あたしが彼女だなんてそんなの釣り合わないから言えなかった……」


消えてしまいたい。

自分の心配ばかりなあたしを千秋はきっと嫌いなると思った。

それでも嘘をつけなかった……。

 

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