【続】俺様王子と秘密の時間
「確かにオレが出した条件だ。でも今はもうしなくていいっつってんだよ」
ガードレールに押し付けられても千秋はいつもの憎まれ口なんてきかずに、抵抗すらしなかった。
「てめぇの口からあのバカ女達に言ってやればよかっただけのことだろ!そうすればシイが傷つくこともねぇんだよ!」
夏の空の下。
二人の声がやけに響いていた。
「んな簡単なこともわかんねぇのかよ!シイの口から言わせようとしやがって汚ねぇよ!」
「雅弥、お前マジで救いようのねぇバカだな?」
掴みかかる羽鳥の手を乱暴に振りほどくと千秋は言った。
「オレの口から言ったら意味ねぇだろ……」
消え入りそうな声で呟いた千秋を見て胸の奥が激しく痛みだす。