【続】俺様王子と秘密の時間


あたしを名前で呼んでくれる。

そんな些細なことですら堪らなく嬉しいのに千秋がいなくなっちゃう気がして泣きそうになった。




ねえ、千秋……。

あたしやっとわかったの。

千秋はあたしの弱さなどとっくに見抜いていた。

だから千秋はいつまで経っても、弱虫なあたしに強くなれって言いたかったのだと思う……。


自分に自信が持てないあたしに、自分で乗り越えてほしかったんだって。


――“あたしは千秋の彼女だよ”


そう言える強さがあるのだと、もう弱虫なんかじゃないんだって信じてくれていたんでしょ……。

優しい殻に閉じ籠って自分が傷つかないように逃げていたズルいあたしを。

あたしが言ったあの日の言葉を千秋はずっと信じてくれていた。



ようやくわかった千秋の気持ち。


けれどこの時もう千秋の答えは決まっていたんだね。

 

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