全てを無に。
第二章~罪は罪~
「そんなもの食べられるわけないでしょ!」

「ですが、今はそんな事を言ってる…」

「食べられません!!」



キャリアウーマンで近所の小学生・季乃ちゃん親の平川さん。

プライドは人一倍高くて、戦争中だというのに隊員が持ってきた食料を食べようとしない。

今は選択する事なんて出来ないのに。

生きるか死ぬかの瀬戸際なのに。

平川さんの他にも食事を採らない人はいた。

どの人も、戦争が始まる前は大きな会社に勤めていた人ばかりだ。

きっと、「この食料を食べたら、戦争が終わったときに馬鹿にされる」と思っているのだろう。

今の大人は外見ばかりを気にしすぎている。

だから、本当に大切なものが見えなくなる。

失ってからでは遅いという事も理解できず…。

平川さんが食事を採らなくなってから数日後。






娘の季乃ちゃんが亡くなった。




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