全てを無に。
ところが、戦争と言うものはあまりにも酷かった。

木も、家も、町も…全てを吹き飛ばした。

残されたものは、命と僅かな食料だけだった。



「…ちょっと、それあたしの畑のものだけど?」

「いいじゃない、戦争が終わったらお金払うわよ。」

「戦争なんかいつ終わるか分からないじゃない!」

「すぐ終わるわよ!!」



町の人たちは小さな事で争いをするようになった。

隣同士だった池田さんと藤堂さん。

本当は凄く仲が良いのに…



「アンタの家はここまででしょ?!」

「いいえ!こっちまでよ!!」



今は凄く仲が悪い。

戦争は人の仲間で切り裂いてしまうのか…。

皐は苛立ちを感じていた。

普段から上辺だけの付き合いしかしてないから…

いざとなると『協力』の2文字が出てこない。

『裏切り』という文字で関係を崩す。




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