secret WISH
一枚上着を羽織って、イヤリングを付けて。
ファントムを探しに出ていった兄貴を見送った俺は
朝食を食べて図書館へ足を運んだ。
爺さんと会うのは、5日振り位か‥。
「お早う、セレス。今日の任務は朝帰りじゃったんじゃろ?」
いつもと変わらなく、優しい爺さんの声。
この声を受けるのは俺じゃなくて、本来なら‥
「‥おはよ、あのさ‥話あんだ」
そう言うと、爺さんは手の中のお茶を眺めた。
俺が向かいに座ると、爺さんはポケットを探り出した。
すっと差し出された手の中には、一つのイヤリング。
「話とは、チャロのことじゃろう?」
全て御見通しとでも言いたげな視線に
苦笑して頷いた。
「全部、思い出したんだ」
手の中のイヤリングを受け取って、それを眺める。
金属特有の感覚に冷たさ。
コレを手に取ったのは初めてだった。
「チャロが捕まって直ぐ、チャロと面談したんじゃ。その時に渡して欲しいと渡された。このまま持っていて、もし見つかりでもしたら。セレスがエル・ディアブロの仲間と疑われかねないと」
「そうか‥」
父さんの武器であったコレ。
城が爆発した時に爆風によって俺たちの近くに落下してきた。
俺は金縛りにでもあった様に動けなくて。
チャロがそれを拾い上げた。
あの後いろいろあってすっかり存在を忘れていたけど‥
チャロ、ずっと持っていてくれたんだな。
教会でドルガーを倒す俺を見て驚いていたのは
俺がクラーヂマンだと分かったからではなくて
俺の武器を見て、俺だと分かったから驚いたんだろう。
「爺さん、此処でチャロと再会したのって何年ぶりだった?」
「10年ぶりじゃったよ‥、名を偽り、髪の色が銀色になっていたから気付かんかった。‥でも、瞳の色が同じで、ドルガーを出した時に確信した。ドルガーはチャロが‥ベニトから教わった術じゃからな‥。2人の他にあの術を使える奴はおらん」
「爺さんは、チャロの事を何処から何処まで知ってんだ?」
「お前がチャロを庇って傷付いた後から、お前が戻ってくるまで知っておる」
「‥戻る?」
「‥‥」
今まで過去をセレスに話さなかったこと、
チャロのことを黙っていたこと、
この罰じゃ‥。
「全て、話そう」