secret WISH
チャリチャリと鍵を鳴らしながら
どこか冷たい空気の流れる廊下を歩いた。
がっしりとした錠前に手を伸ばすと、
眠っていたチャロが目を覚まして
コシコシと目を擦って俺を見上げてきた。
よく見ると、目元には隈が出来ている。
あまり眠れていないのか?
冷たい柵の入り口を押し開けて
足を忍ばせるとチャロは笑った。
「お早う御座います」
「おはよ。ワリィな起こしたみたいで」
いいえと言う代わりに、チャロは首を振った。
そして真っ直ぐに俺を見るその瞳は
俺の事を見透かしているようで。
「‥何か、聞きたい事があるようですね」
そう独り言のように呟くと、
チャロは古惚けたベットの上の布団を畳み始めた。
「ああ、単刀直入に言うが‥」
チャロ、お前は俺に何を隠している?
一瞬だけチャロの肩が揺れたのを、俺は見逃さなかった。
平然を装って笑みを浮かべる表情から
少し余裕が無くなったのも気付いた。
「‥それは、どういう意味ですか?」
「お前、爺さんに言っただろ。10年も前の事だから曖昧になっちまってるかも知れねぇが、俺が大ケガ負った時に何処か別のところへ俺を連れて行っていたみてぇだな。“裏の世界”に」
「‥‥」
「それともう一つ。お前が俺から離れなくちゃいけなくなったのは、あの女から俺を殺すと脅されたからか?」
「‥あ、あれは‥自分の意思で‥」
「自分の意思、か。‥これはあくまで俺の推測だが、」
あの女はお前が自分の仲間でドルガーを使える事を知り、
お前はあの女からの願いを聞き入れる代わりに
他人に治癒能力を使う方法を教えて貰った。
そしてその願いというのはお前を自分の戦力とすることだったんだろう。
何かの為に人間を無差別に襲っていく事をしようとしているのだから
それは人間に知られてはまずいと踏んだから
チャロが誰にも絶対に言わない様に口止めをしておく必要があった。
だからその為に、あの女は誰かに事を告げたら殺すとお前を脅し
「お前は俺を守る為に俺の傍を離れた。‥ってとこか?」
「‥見事な推測」