-KAORI-

いつのまにか暗くなった部屋に、一人。

誰も、あたしが存在している意味を、知っている人はいない。

救ってくれない、誰も。

コンコン

きっとお母さんだろう、今日で何度目かのノックだ。

『あかり、ご飯は?』

「いらない。」

『ちょっと、出ておいで。話したいことがあるの。』

そんな余裕などない。

どうせ、出たら出たで、黒川先生がきっと知らせただろう、傷のことを長々と話されることになる。

「話って何?」

『私のこと。』

「お母さんのこと?」

『そうよ。』
< 61 / 132 >

この作品をシェア

pagetop