-KAORI-

お母さんは、滅多に主張をしない主義だ。

『大事な話なの。お願い、出てきて。』

手探りで、ドアノブに手をかけてドアを開いた。

そこには、頬に血をつけ、涙の跡が残る、お母さんの姿だった。

「その傷、どうしたの?」

『詳しくは、下で話そう。』

階段を降りるお母さんの足は、確実にケガをしていた。

そこであたしはやっと、重要なことだと気付いた。

リビングのソファーに座ると、お母さんは、お父さんを避け、別のイスに座った。

『あかり。お前は、お父さんとお母さん、どっちに着いて行く?』

離婚――?

「なんで?」

『あのな、お父さん達な…。』

「離婚、するの?」

お父さんの言葉をさえぎって言った、あたしの言葉は二人を驚かせた。
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