気付けば溺愛
エレベーターの中は二人きりで、拓真は乗り込んだ途端私を引き寄せると、激しく甘いキスを落としてきた。

まだ聞きたい事はあったけど、そんな事は構わずに私も拓真の首に腕を回して深く深くキスを返す。

「たく…拓真、好きなの」

「知ってる…」

そのつぶやきとともに、私の目を見つめると

「そう思ってた。惚れ過ぎて気狂いそうだった」

「っ…。やっぱり拓真わかりにくい」

「ごめん。近くに居過ぎて甘えてた」

「…惚れてる彼女って私の事?」

見上げて聞く私を優しく包む腕に力が入って、拓真が何か言おうとした時。

…エレベーターは一階に着き、その言葉は拓真の苦笑いがとって変わってしまった。
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