恋めぐり
家に帰っても一人だもの。

クリスマスに一人だなんて虚し過ぎるでしょう。

そこだけは、私の事情を察して欲しかった。


人の心の中が相手に伝わるわけはなく、彼は私の手を掴んで起こそうとしてきた。


手が触れた瞬間、私の身体を何かが走った。

悪寒とも違う何か。


その得体の知れなさに私は彼の手を振り払っていた。

彼は宙を舞って、コンクリートに身体を叩きつけていた。


「っ、直江!何しやがる」


「久保田くんに触られたら、寒気しちゃった」
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