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見つけた
見た目の怪しさからは信じられないほど、二人は確実に仕事をこなす。今日もそうだった。

「サチス。」
黒ずくめの男が呪文を唱えた。
ここはレイフルの観光名所にもなっている時計台の中だ。周りの機械音で、男の呪文は朱ずくめの女には聞こえなかった。
「れれ、早く呪文を唱えなよ。」
催促をするが、れれにはそれが聞こえない。
「ねね様、なんです?」
そう男が聞いた時、二人の前に碧い光の玉が浮かんだ。魔法を統括している精霊たちには、れれの呪文は聞こえていたのだ。
「なんだ、呪文は唱えていたのかい。」
女は独り言を言った。
徐々に光の玉が様々な色に彩られる。そして、それが地図となっていった。出来上がった地図の真ん中に、今度は赤く光る小さな玉が浮かんだ。
「次のお相手は、ずいぶん近くにいるみたいだね。」
「そうだね、ねね様。また、きれいかな?きれいだといいな。そしたら、この間みたいにドキドキが止まらないで、楽しく殺せるもんね。あぁ、きれいかな?」
「さぁね、言術を使うのは女だけじゃないからね。その前みたいに、じじいって事もあるかもよ。」
れれは残念そうな顔をした。
「やだ、きれいじゃなきゃ殺さない。楽しくないもん・・・。」
「じゃ、怒られてもいいんだね。私たちの仕事を忘れたのかい?」
「言術使いを、みんな殺す事。・・・だよね?」
れれには恐れている人物がいた。今、目の前にいるねねも十分に恐ろしいが、その人物はさらに恐ろしい。軽い震えを覚えた。
「ねね様、俺、がんばるよ。」
「うん、いい子だね。」
朱ずくめの手で、男の頭を撫でた。
黒と朱のコントラストが、確固たる殺意を表現しているように思えた。
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