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はじめは痺れた。足が痺れるとか、そんな感じだ。それがじんわりと熱くなり、痛くなった。腰のあたりが激しく痛い。ねねはその痛みの理由がわからない。
「あれ・・・どうしたんだい?」
腰のあたりをまさぐると、べっとりと何かが付く。
「これって・・・。」
まず、血だらけの手のひらが見えた。その先に、腰にナイフを突き立てたリーグの姿が映った。
「こ、こ、こ・・・このガキぃぃぃぃぃぃぃぃぃ。」
リーグは鞄に入っていたナイフで、ねねの腰を思い切り突き刺した。刃の長さから考えれば、たぶん、十センチ以上は入っているはずだ。
なんとか抜こうとするが、リーグが力を込めているせいで抜けない。むしろ、リーグともみ合ったせいで、より深く刺さった感じだ。
「うぅ。」
力を出せる状況ではない。ねねには魔法しか残っていない。ただ、この状況下できちんと使いこなせる自信のある呪文はほとんどない。さっきのれれのように、魔力の暴走が起きる可能性もある。
それでもやるしかない。どっちにしても、このままでは死んでしまう。
「エ、エフス。」
炎が舞った。しかし、うまく狙えない。目がかすみ、リーグが何人にも見える。
だから、闇雲に放った。暴走しないように、可能な限り加減をしながらと考えながら。

魔法の源は魔力だ。その魔力は、血液に混じっている。
血液に色々な型がある。実は魔力はその型のひとつなのだ。生まれながらにその血を持つ者もいれば、何らかの要因で血を分けられた者もいる。
つまり、血が流れるという事は、その力そのものの流出を意味する。

大気に触れた魔力。それは人の制御しうるものではなくなっていく。流れる量に比例し大きく、強いものになっていく。そして、暴走が始まる。それは誰にも止める事は出来ない。例え、どんなに魔術に長けた魔法使いだとしてもだ。
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