SSマジック
前回来たときにはなかったオレンジジュース。

和人には聞こえないように言った、“オレンジジュースが飲みたい”が聞こえて
いたようだ。

あれだけのことで用意されているなんて、やさしいんだな、と関心した。


「で?」
ぷはーと言い終えたところで和人が聞いた。

「何?」
何を聞かれたかまったく分からない愛はそのまま返事をした。

「お前ら、なんなんだよ」

愛と優は高校に入ってから平和に暮らしてきた。
過去など忘れたかのように。

「あんたこそ。何この家」
愛はそう言うと、和人の顔を睨み付けた。
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