猫とうさぎとアリスと女王
けれど僕が心配しているのは奏芽君に僕の気持ちを勘付かれたことでは無く、タケに僕の気持ちが知られているんじゃないかってことだった。
他人から見てすぐにわかるほど表情が変わっているのだから、ここ最近ずっと一緒にいるタケならもう僕の気持ちを知っているのかもしれない。
どうしよう・・・。だとしたら・・・。
「最悪だ・・・。」
僕はつい声に出して言ってしまった。
どうしよう。どうしよう。どうしたらいいんだろう。
僕はその場にしゃがみこんでしまった。目の前が自然と滲む。
「何?お前、あいつに惚れてんの?」
僕は何も言えなかった。
気持ち悪がられると、思ったから。奏芽君に軽蔑されると思った。
僕がここで頷けば奏芽君は明日にでも誰かに言いふらし、僕は同性愛者だと罵られる。
そんな光景が容易に想像できた。
「その様子じゃ図星らしいな。」
僕は奏芽君の表情を盗み見た。
どんな顔をしているのか、気になった。
面白がって僕を見て笑っているのだろうか?それとも明らかに気持ち悪そうな表情をしているのか。
けれど僕は奏芽君の表情を見て驚いた。
奏芽君は何食わぬ顔で煙草をふかし、煙を吐いた。
白い靄が空気中へと溶けていく。
「僕のこと、軽蔑したりしないの?」
「なんで軽蔑なんかするんだよ。それとも軽蔑して欲しいのか?」
僕が首を振ると、奏芽君は笑った。
「あんまり溜め込むと沈む一方だぜ。口に出して言った方が、少しは楽になる。
好きなんだろ?あの男のこと。」
風が通りすぎる。
僕と奏芽君の間を。まるで話したことも無いのに、僕のことを昔から知っているような。
「・・・好き、なんだ。狂いそうなくらいに・・・。」
僕はその言葉を出すと、安堵からか涙をこぼした。
奏芽君は、ずっと煙草をふかして遠くを見ていた。
他人から見てすぐにわかるほど表情が変わっているのだから、ここ最近ずっと一緒にいるタケならもう僕の気持ちを知っているのかもしれない。
どうしよう・・・。だとしたら・・・。
「最悪だ・・・。」
僕はつい声に出して言ってしまった。
どうしよう。どうしよう。どうしたらいいんだろう。
僕はその場にしゃがみこんでしまった。目の前が自然と滲む。
「何?お前、あいつに惚れてんの?」
僕は何も言えなかった。
気持ち悪がられると、思ったから。奏芽君に軽蔑されると思った。
僕がここで頷けば奏芽君は明日にでも誰かに言いふらし、僕は同性愛者だと罵られる。
そんな光景が容易に想像できた。
「その様子じゃ図星らしいな。」
僕は奏芽君の表情を盗み見た。
どんな顔をしているのか、気になった。
面白がって僕を見て笑っているのだろうか?それとも明らかに気持ち悪そうな表情をしているのか。
けれど僕は奏芽君の表情を見て驚いた。
奏芽君は何食わぬ顔で煙草をふかし、煙を吐いた。
白い靄が空気中へと溶けていく。
「僕のこと、軽蔑したりしないの?」
「なんで軽蔑なんかするんだよ。それとも軽蔑して欲しいのか?」
僕が首を振ると、奏芽君は笑った。
「あんまり溜め込むと沈む一方だぜ。口に出して言った方が、少しは楽になる。
好きなんだろ?あの男のこと。」
風が通りすぎる。
僕と奏芽君の間を。まるで話したことも無いのに、僕のことを昔から知っているような。
「・・・好き、なんだ。狂いそうなくらいに・・・。」
僕はその言葉を出すと、安堵からか涙をこぼした。
奏芽君は、ずっと煙草をふかして遠くを見ていた。