猫とうさぎとアリスと女王
 そんなある日、僕は母さんに呼び出された。
何故かわからずに行くと、目の前にある紙を差し出される。


「これは何?」


それは絵画コンクールのチラシだった。

出品する気は無かったけれど、念のために学校から貰った物。
それを母さんに突きつけられた。


「飛絽彦、貴方が絵を描くのが好きなことは私も知ってる。
けれど貴方が将来進む道はデザイナー。画家じゃないのよ。」


真っ向から否定をされた。

なんで母さんが僕の将来を決める?そんな権限がどこにある?


僕は、違う。


「飛絽彦、聞いてるの?」

「僕は絵を描きたい。」


顔面蒼白、母さんの顔を見てその言葉を思い出した。

けれど僕は口を止めることは無かった。


「自分が何を言ってるかわかってるの?」

「僕は、画家になりたいと思ってる。母さんの後は継がない。デザイナーにもならない。」


そう言ったとたんに、頬に痛みが走った。

乾いた音が鳴り響く。




母さんは僕の頬を叩いた。





生まれて初めて、手を挙げられた。



父さんでは無く、母さんに。











凄く、痛かった。
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