猫とうさぎとアリスと女王
 お父様の重大な決意。

子どもの私にも、それがどれだけの決心なのかわかりました。
幼い頃から組長として生きるお父様の背中を見て育った人間ですもの。

わからない筈がありませんでした。



私とお母様の為を思った決断。
それを無駄にはしたくありませんでした。

だから私はヴァインズのリーダー辞退を決意したのです。



私は皆の前でその旨を伝えるようなことはしませんでした。

トラを含め幹部の人間にだけ報告。
そんな小規模な話し合いで済ませたのです。


メンバーには悪いことをしたと思います。

きちんと真正面から言わず、逃げるような真似をしてしまったこと。
私など罵られて当然です。




リーダーを辞退したその日、私は雨の中をただ歩いていました。

雨に打たれることで自分の罪を自覚できるような、そんな気がしました。
容赦無く打ち付ける雨。


全身ずぶ濡れでたどり着いたのは、小さな映画館でした。



映画など普段は見ないのですが、その日は雨宿りのついでに何か一本見ていこうと思ったのです。

自分でもよくわかりません。

何故あの映画館にたどり着いたのか。
何故映画を見ようと思ったのか。
何故あの映画を選んだのか。


けれどそれによって私の人生は大きく変わりました。




貴方に出会い、私はロリヰタになることを決意したのです。
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