硝子玉
A rainy day
雨って嫌いだった。
じめじめするし、服も濡れるし、汚れたらお母さんに怒られるし
だけど、あの日から雨の日が大好きになった
彼女と出会えたから
車が水たまりを通り抜けていくと水しぶきが上がる
傘を差してても、濡れる。
梅雨ってやだ
そう思って帰り道を歩いていたら鳴き声が聞こえた
鳴き声のする方を見ると赤い長靴を履いた女の子がこけたのかすりむいたところを抱えて泣いていた
「大丈夫?ばんそーこーあげる。」
「・・・ありがとう。」
女の子は絆創膏を膝に貼って立ち上がった。
「この硝子玉あげる。」
「ありがとう!」
「雨あがるよきっと。」
そう言い残して女の子は立ち去っていった。
「・・・・////」
それが初恋だったと思う。