満たされしモノ
昼休み開始から八分弱。


乱闘が形成されてから五分と言ったところか。


通常、極めて突出した強さを持つ者がいない限り、戦闘は膠着する。


もちろん、パンタゴンでの戦闘も当てはまることだ。


つまり、いまだ『ウマパン』の獲得者は出ていないはず。


よし、行ける……!!


僕はズボンのポケットに手を突っ込み、百円玉が二枚あることを確かめる。


パンは一律百円。『ウマパン』も『マズパン』も値段は変わらない。


だったら、ほしいに決まっているのは……


「ウマパァァァァァン!!!!!!」


気合いの入った雄叫びをあげると同時に、僕は地面を蹴った!!


コマ送りのような景色はもう見ていない。


僕が見ているのは、人の群れの先にある『ウマパン』のみ!!


 


乱闘の外側には、中心に潜り込もうと食らい付いている人達がいる。


外側の連中は気合いが足りないと思う。


だから、乱闘に混じりきれないし、前に進めない。


はっきり言わせてもらうと……


 


邪魔だ!!!!


 


僕は人と人との隙間に身体をぶつけて突き進んだ。


中途半端に群がる外側の連中は、いとも簡単に抜けられるのだ!!


ここまでは順調。


僕の進行を止めたのは誰かの蹴り。そこは乱闘の中心部だった。


< 44 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop