満たされしモノ
蹴られた腹に鈍い痛みが走るが、一切を無視して相手の足を掴み取る。


掴まれた男子生徒は素早く足を引き戻そうとした。


離れないように踏ん張る?


いや違う。


僕は相手の足を思いっ切り押してやったのだ。


こういった場合、反発しあう力には踏ん張れるが、押し返されると逆に体勢を崩すものだ。


僕の読み通り、男子生徒は不意を突かれたようで、倒れかかっていた。


そこに駄目押しの体当たりを仕掛ける!!


「ぐっっ!!!!」


大きく飛ばされた男子は短い悲鳴とともに人の群れへと消えていった。


一人撃破。


だが、喜んでいる暇はないし、意味もない。


群がりの中心地にいるとはいえ、パンまでの距離は遠い。


加えて、この先はさらに人口密度が高くなる。


パンタゴンの乱闘は約五十人で形成されているので、あと三十人は前方にいるだろう。


本当に遠い……


まるでパンが蜃気楼のように不確かな存在に思えてくる。


……


いやいや、弱気になっては駄目だ。


気持ちで負けていたら到底『ウマパン』には届かない。


僕は改めて前方を睨みすえ、攻め口を探す。


見付けた。


取っ組み合う二人が何組もあり、そういう連中の合間をうまくすり抜けた……


……と、待っていたかのように左右から二人の女子が迫って来た!!


 
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