満たされしモノ
女子二人による挟み撃ち。


俄かにピンチとなった時、僕の中でアドレナリンが大量発生したのか景色の流れが遅く感じた。


視線を右へ。


同学年とおぼしき女子が肘を突き出し向かってくる。


当たれば首の骨が砕けそうな勢いだな……


続いて視線を左に。


同じく同学年らしき女子が膝蹴りを放ってきている。


素直に喰らえば腰がへし折られるかな……


どちらも体重を乗せた攻撃。いくら腕力の差がある女子と言えど当たればただでは済まない。


そして、もう一つ共通するのは二人とも僕を見ていないということだ。


あくまで女子同士の一騎打ちで、そこに僕がポッと出てしまったわけだ。


状況の把握は完了。


黙って突っ立っていれば、左右からの殺人級インパクトで物言わぬクランクと化すのは必至。


当然、回避行動を取らなければいけない。


後ろへ引くか前へ進むか。


選択肢にならない。


前身あるのみだ!!


身体への命令が送られると……


時間が動き出した。


 


無理な体勢での前進につんのめりそうにながら、少しでも攻撃から逃れようとする。


無様な格好も厭わなかったのが功を奏し、うなじと腰をかするも難を脱した!!


直後、背後から鈍い音と女子の野太い悲鳴が聞こえてくる。


次にドシャリという土を打つ音。気絶したのか……


女子の痛々しい姿が頭にちらつき、僕は振り返れなかった。


のびた時の女子の顔はなかなかにショキーだからなぁ……


 
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