満たされしモノ
突撃から僅か二十秒足らずだが、二度の死線を潜り抜けた。


このまま気を抜かずにゴールを目指そうと、


足を踏み出そうとした矢先に、


場の雰囲気が変わった。


(な、なんだ!? 異様な圧力が!!)


肩にのし掛かる重圧……
肌をさす空気……
ふらつきそうな程の気迫……


覚えがある……!!


この空気は……


圧倒的強さを持つ者がいる時のものだ!!


前進することだけを考えていた僕だが、ある確信により、後ろを振り向いた。


そこには……


 


ズボンのポケットに手を入れたまま静かに歩く一人の男がいた。


そして……、何故だか道が出来ている。


正確には、群がっている連中が道をあけたのだ。


集団の最後尾は弱い連中で形成されているとはいえ、なんというヘタレな人達だ!!


だが、怒りがわくと同時に納得もする。


ゆっくりと歩いて来る人物……


この人に睨まれたら、大抵の人は足が竦む。


まさに、真正面にいる僕が動けないでいる!!


逃げろと本能が告げているにもかかわらず!!


間違いない……


閂の言っていたことは正しかったのだ!!


(この人が……戌亥先輩!! ナイフを使い、傷害事件を起こした張本人か!!)


 
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