満たされしモノ
僕は大切なことを失念していた。


不知火の忠告を無視してまで、何のためにパンタゴンへ来たのか。


そう……


 


全ては『ウマパン』を食べるため!!


(負けられない!!

例えナイフを持っていようと、僕は勝ちたいんだ!!!!

勝ってマシュマロンパンを食べるんだ!!!!)


僕は力の有らん限り戌亥先輩を睨み付ける!!


伸び放題の茶色い前髪から覗く、ナイフのような鋭さを帯びた眼。


意外なことに、その瞳は僕を捉えていた。


(眼中にないかと思っていたけど……)


目が合う、ということは戌亥先輩は僕を敵として認めているということだ。


視線の交差で伝わる戦意……!!


――来いよ


誘っている……、いや、先制を譲っているのか……


(後悔するよ、戌亥先輩!! 無防備で間合いに入ったことに!!!!)


「ダアッッ!!!!!!」


腰と足のバネをフル稼働させ、胴回し後ろ蹴りを先輩の顔を目掛けて放つ!!


だが……!! 忽然と姿を――


――何故


   気付けば


僕は空を見上げていた――


先輩が回避と同時に僕の足を払ったのだと考えが至るやいなや、


視界は闇で覆われ


思考はモヤにとけだした――――


 
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