満たされしモノ
豚足……と言えば、あれだ。


豚の足の部位。


あまり馴染みのない食材であり、僕も食べた事はない。


聞くところによると豚足は肉質の部分が少なく、ブヨブヨした食感。それ故に苦手という人が少なからずいるそうだ。


「豚足……。そんなのがタンドリーチッキンにあったんだ……」


戸惑いとも落胆とも言えない微妙な心境だ。


しかし、閂は依然として自信満々な態度を崩さない。


「あるのよ。知る人ぞ知る、裏メニュー。それが豚足を使用した……


『フライドレッグ』」


百聞は一見に如かず。


閂はタンドリーチッキンのロゴのはいった紙箱を取り出し、


ゆっくりと開いた。


「ふ……


ふぉぉぉぉ~~!!!!」


箱から湧き出る香ばしい匂いにたまらず声を上げる!!


食欲をそそる油の香り。それに混じり、唐辛子の刺激が鼻腔をくすぐる。


「見ての通り、豚足をフライしたものだ。付け合わせのコチジャンソースも絶品よ」


「コ、コチジャン……」


あまりの刺激に耐え兼ねたのか、僕のお腹がグギュルゥゥゥという叫びを挙げた。


閂はクスリと笑い、箱をこちらに寄せてくれる。


「食べていいぞ」
「いただきます!!」


無礼な程に慌だしい僕に、それでも閂は笑みを崩さず、


「ゆっくり食べろ。豚足は逃げたりしないよ」


 
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