遠目の子鬼
僕達は、ひととおりのり練習を終えると又兵衛に別れを告げて二人で教室を後にした。


「ねぇ、保孝君」


なっちゃんがちょっと居住いを正して僕の方に向き直ると、少し躊躇ってから、ゆっくりと話し始めた。


「あの、この前の話…覚えてる?」


忘れる訳が無い。なっちゃんが、僕に好きだと言う子を紹介したいと言う、あの話だ。


「う、うん…覚えてるよ…」


僕もちょっと躊躇いがちに彼女に答えた。


「で、どう?」


なっちゃんの祈る様な視線が痛い。
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