遠目の子鬼

2) 秋の空は高く

         ★

空が高くて、空気が乾き、夏のぎらぎらした大洋の日差しも、その影を潜め季節は秋に移りつつあった。


僕はなんとか落ち着きを取り戻して毎日ブラスバンドの練習に励んでいた。


コンクールが近付いている。


全体練習にも何時もののんびり感は消えピリピリとしびれる様な感覚に襲われながらの練習が続いていた。


野球部が全国大会に進出したんだから、ブラスバンド部も、コンクールを勝ち上がって、全国大会進出を手中にしなければならない。それが野球部への恩返しだと…なんだか良く分からない理論だけど、それw不思議に思う余裕すら無い。とにかく上手にならなけりゃ、絶対に失敗しない様にならなけりゃ。
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