遠目の子鬼
箱形の椅子をスネアドラムに見立ててなっちゃんがロールを続ける。


それを見つめる小動物達。


僕はユーフォニュームを膝に置いて、その光景に見とれた。又兵衛も同じらしく、僕の横にポツンと建ちつくしてなっちゃんを見詰めている。


「おい、保孝よ…」


僕は又兵衛にそう話しかけられてから、一拍置いて


「…え、何?」


と、間の抜けた答えを又兵衛に返した。


「まったく、しっかりしろよ、そんなんじゃ、彼女に嫌われるぞ」
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