遠目の子鬼
あぁ、英二は知ってたのか、僕があそこに居た事を。


「なっちゃん…なんて言ってたの?」


僕も小声で英二に聞いてみた。


英二はにこりと一度微笑んだだけで、何も答える事は無かった。


でも、なんとなく全ての事が分かった様な気がした。


多分なっちゃんは、この前出来なかった告白を、さっき英二にしたのだろう。


僕の視線は自然になっちゃんを捜していた。


彼女はパーカッション担当の仲間達の中心に成って何か楽しそうにお喋りをしている。


英二の話を聞いたせいか、なっちゃんの表情には、なにかすっきりしたという感じが見て取れる様に思えた。


「うん、分かってるよ、秘密だ」
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