白黒先生-二重人格彼氏-
そして、頑として声の方向を振り向かなかったあたしの右手が、引っ張られる。
「わっちょっ何っ!?」
振り向かずにはいられなかった。
「すいません皆さん、僕、これからこの生徒の指導をしなければならないんですよ」
『えー何でですかー?』
『後ででいいじゃないですかぁ~』
あたしの視線の先には、困ったような笑顔を浮かべている先生。
顔から、申し訳なさが伝わってくるようだ。
まぁ、心の中ではこれっぽっちも思ってはいないんだろうけれど。
って、そんなこと考えてる場合じゃなくて!
「いっいや、あたし何も悪いことしてなっ…」
「ほら倉橋さん、その髪、染めてるでしょう? ちょっと指導室まで来てもらいますよ」
あたしが言い終わらないうちに、先生がスラスラ早口でそう言った。
次の瞬間、掴まれた右腕に力が入る。